出来高、史上最長記録に並ぶ the rise in stock markets, trading volume. 2003 6 25

 本日の株式市場は、20日連続して、10億株を超える出来高だった。
この記録は、1989年2月1日から3月1日に記録した史上最長記録に、並ぶ記録となった。
 一般的に、メディアは、平均株価だけを報道しているが、
この報道の仕方では、偏った報道になってしまい、事実の半分しか伝えていないことになる。
なぜなら、平均株価は、4月まで、下がり続けたが、
個別の銘柄を見ると、平均株価が下がるのに、新高値を記録する銘柄が多かったのです。
来る日も来る日も、あの銘柄が新高値をつけた、
今度は、この銘柄が新高値をつけたという話題が多かったのです。
 しかも、報道の内容も、単に平均株価の価格だけの報道では、
現在の平均株価の位置関係がわからないので、
視聴者は、株式市場を感覚で判断するようになる。
もちろん、数学の得意な視聴者は、数字だけの報道でも、頭のなかで、うまく把握できる。
数学が苦手な視聴者が多いと考えられるので、
平均株価のグラフを示して、現在の平均株価の位置関係を視聴者に伝えるべきである。
 さて、株価を判断する時、出来高は重要な判断材料となる。
出来高が少ない状態で、株価が上昇しても、
それは、丈夫でない、もろい株価となる場合がある。
場合によっては、不自然な価格形成になる場合もある。
出来高を伴った株価の上昇が、足腰の強い株価の上昇と言える。
 出来高については、こんな興味深い例がある。
出来高が、何日も連続して増加しているにもかかわらず、
株価が上昇しない銘柄がある。
この銘柄は、注目に値する。
 その銘柄を買う人が多いが、その銘柄を売りたい人も多い。
この状態が何日か続くと、その銘柄を売りたい人が減ってくる。
売りものが、やがて尽きてくる。
こうなると、買いたい人の勝ちとなる。
その結果、後は、比較的スムーズに株価が上昇することになる。
さて、こうなると、信用売りをしたくなる人達がでてくる。
しかし、それでも、株価が上昇してしまうと、
信用売りをした人達は不安となり、買い戻すことになる。
そこで、株価の上昇が加速する場合がある。
信用売りは、時には、株価上昇のエンジンとなる場合がある。
 市場というものを知らない学者や官僚は、
株価が下がると、信用売りを規制すればよいと考えるが、
それは、頭が悪いと言わざるを得ない。
 投資家に信用売りを多くさせておいて、信用売りが大量に貯まったところで、
政府が、断固として、株価対策をやると宣言すれば、
信用売りをした人達は不安となり、買い戻すことになる。
この方が、手間も金もかからない。
株式市場というものは、心理戦のようなものです。
 小学校の運動会で、綱引きという競技をやったことがあるだろうか。
この競技も、なかなか勝敗がつかないように見えるが、
ちょっとした、きっかけで、勝敗がついてしまうことがある。
出来高とは、買いたい人と売りたい人の綱引きのようなものである。
 さて、今後、株安になるか、株高になるか、
これは、市場での、綱引き競争の結果による。
 だだし、株高になることは、ある面では、不幸な結果をもたらす可能性もある。
その理由は、国際優良銘柄を買うモデルで検証すると、よくわかる。
たとえば、日本を代表する国際優良銘柄の株価が、5,000円だったとする。
この銘柄を買いたい時は、5,000円では、買えない。
売買単位という規制があるので、1株だけの購入はできない。
国際優良銘柄の売買単位は、100株が多いので、
5,000円×100株=500,000円となる。
この金額に、手数料がかかる。
この金額は、資産家にとっては、気にもならない金額であるが、
一般庶民にとっては、大金となる。
国際優良銘柄の株価は、歴史的低水準にある。
しかし、それでも、一般庶民には、売買単位という規制があるので、
買えない水準にある。
 このような状態で、株高が始まると、どうなるか。
株を買える資産家は、さらに金持ちになり、
株を買えない一般庶民は、リストラや給料カットで、相変わらず、貧しいままとなる。
売買単位という制度が、株高が始まることによって、
日本に階級社会を作っていくのです。
こんな形で、日本に階級社会ができてくるのです。
それゆえ、株高は、一部の人達を幸福にし、
その他の大勢の人達は、相変わらず、生活が苦しいままとなるのです。
金利は、ゼロに近い金利であるので、いくら貯金をしても、
利子はつかないと思った方がよい。
つまり、貯金は増えない。
これで、ある時、デフレがインフレに変わったら、どうなるか。
給料は、急には増えない。
金利は、急には上昇しない。
物価は、急上昇する。
貯金は、どうなるか。
株式は、どうなるか。